未知の災厄「トーキョーエクスプロージョン」。
事件の影で暗躍した、一人の契約者がいた。
「黒の死神」と呼ばれた男、コードネーム「黒<ヘイ>」。
"組織"に敵対し事件を引き起こした黒は、
仲間のドール「銀<イン>」を連れて逃亡していた。
"組織"の刺客を撃退しながら、南を目指す二人。
いつ終わるとも知れぬ、先の見えない孤独な逃避行の中、
信じられるのはもはや、互いの存在だけだった――。
夏の日差しの下、つかの間の安息を味わう黒と銀。
だが幸せな時間は長くは続かない。
深く冷たい闇が、静かに忍び寄っていた。
本来自我を持たない存在であるはずの<ドール>。
だが銀は、黒と過ごす日々の中で、
少しずつ自らの意思を表に出し始める。
銀の変化に戸惑いと苛立ちを感じる黒はしかし、
その本当の意味をまだ知らなかった。
変わっていく自分自身に、銀自身もまた苦悩する。
黒と一緒にいたい。でも、このままでは――。
そして、銀を狙う者たちの影がちらつき、
新たな闘いの火種が燻りはじめる。
再び黒に迫られる、運命の選択。
やがて二人の絆を引き裂く悲劇の幕が、
いま静かに上がりつつあった――。